災害ボランティア意識アンケート 調査結果

2012年03月09日
Hack For Japan、ピースボート災害ボランティアセンター

調査目的

被災地ボランティアに参加する人の数が減少しています。しかしながら、多くの東北の被災地では、継続したボランティアによる復興支援活動へのニーズがあります。また、被災地からの人口の流出が問題となっており、長くかかる復興を支えるには、ボランティアに限らず外からの人の流れを作り出す必要があることから、被災地でのボランティアに参加した人、していない人問わず、広くアンケートを実施しました。

このアンケートを通じて、今回被災地における災害ボランティアに参加しなかった人はどのような「きっかけ」があれば参加したのか。また、災害ボランティアに参加した人はどのような「きっかけ」があったので再度参加したかを調査しました。

このアンケートの集計結果を基に、これからの東北における復興支援やボランティア活動について考えます。また今後こういった災害が起こった際のよりよい支援活動を行うための参考にいたいます。

※アンケートは、復興を継続的に支援するためのIT開発を支えるHack For Japanが協力し、これまでにのべ5万人(日別のべ活動人数)を越えるボランティアの活動をコーディネートしてきたピースボート災害ボランティアセンターとともに呼びかけました。

調査方法

2012年02月14日から2012年02月24日までの期間で、インターネットアンケートを実施いたしました。
主にホームページ・Twitter・Facebookなどのインターネットメディアにて、呼びかけを行いました。

調査結果

ピースボート災害ボランティアセンター(PBV)と Hack For Japanにて、アンケートの呼びかけを行い、計1016人から回答を得ました。

回答者

  1. 性別
    男性610人(60.04%)
    女性406人(39.96%)
  2. 年齢
    10代27人(2.66%)
    20代261人(25.6%)
    30代374人(36.81%)
    40代270人(26.57%)
    50代67人(6.59%)
    60代以上17人(1.67%)
  3. 職業
    会社員・公務員・自営業673人(66.24%)
    専門学校生・大学生148人(14.57%)
    フリーター55人(5.41%)
    無職54人(5.31%)
    主婦・主夫50人(4.92%)
    団体職員14人(1.38%)
    退職10人(0.98%)
    中学生・高校生6人(0.59%)
    その他5人(0.49%)
  4. 被災地での災害ボランティアに参加しましたか?
    参加した561人(55.22%)
    不参加455人(44.78%)

被災地での災害ボランティアの『参加経験のある方』の質問と回答を以下にまとめます

  1. はじめて災害ボランティアへ参加した
    はい505人(90.02%)
    いいえ56人(9.98%)
  2. 災害ボランティアとして何回参加しましたか?
    1回175人(31.19%)
    2回101人(18.00%)
    3回51人(9.09%)
    4回以上234人(41.71%)
    ※2回以上参加された方の合計が386人(68.80%)となっています。
  3. なぜ複数回参加されましたか?
    継続した参加が必要だと思ったから349人(46.23%)
    別の被災地の状況も知りたかったから127人(16.82%)
    地元の人と知り合いになったから109人(14.44%)
    前回の活動で納得できなかったから72人(9.54%)
    友人、知人などから再度誘われたから41人(5.43%)
    その他57人(7.55%)
    ※2回以上被災地での災害ボランティアに参加された方への質問です。
  4. 被災地での行った具体的な活動の例として以下が上げられます。
    清掃作業118人(11.61%)
    仮設支援30人(2.95%)
    産業支援27人(2.66%)
    医療3人(0.30%)
    炊き出し10人(0.98%)
    支援物資11人(1.08%)
    PC/IT関連9人(0.89%)
  5. ボランティアとして参加した際に、どこの団体を経由して参加しましたか
    NGO/NPO・その他支援団体417人(74.60%)
    災害ボランティアセンター(社会福祉協議会運営)65人(11.63%)
    所属する企業・団体49人(8.77%)
    旅行会社10人(1.79%)
    その他18人(3.22%)
  6. 災害ボランティアとして何日現地に滞在しましたか?
    1日32人(5.72%)
    2日66人(11.81%)
    3日55人(9.84%)
    4日以上(02週間未満)209人(37.39%)
    2週間以上197人(35.24%)
    ※複数回被災地に行かれた方は延べ滞在日数
  7. 災害ボランティアに参加した時期は?
    3月(震災後すぐ)37人(6.62%)
    4月102人(18.25%)
    5月-7月238人(42.58%)
    8月以降182人(32.56%)
    複数回被災地に行かれた方は一番最初の時
  8. 初めに何をきっかけに災害ボランティアを知りましたか?※複数回答
    インターネット335人(39.50%)
    新聞、雑誌60人(7.08%)
    テレビ、ラジオ94人(11.08%)
    Twitter79人(9.32%)
    Facebook34人(4.01%)
    講演会、イベント14人(1.65%)
    家族・友人/知人から聞いた185人(21.82%)
    その他47人(5.54%)
  9. なぜ災害ボランティアに参加しようと思いましたか?※複数回答
    役に立ちたいと思ったから458人(41.56%)
    時間があったから150人(13.61%)
    被災地を自分の目で確かめたかった390人(35.39%)
    友人、知人に誘われたから43人(3.90%)
    その他61人(5.54%)
  10. 災害ボランティアに参加するにあたり困ったこと・問題点がありましたか?※複数回答
    どこに行けばよいかわからなかった139人(10.40%)
    お金の問題164人(12.27%)
    安全面の不安119人(8.90%)
    放射能への不安73人(5.46%)
    時間の確保11人(0.82%)
    周囲の理解を得るのが大変だった47人(3.52%)
    現地情報、活動情報の不足、混乱172人(12.86%)
    被災地までの交通手段の確保方法169人(12.64%)
    初めての参加で不安192人(14.36%)
    体力の不安116人(8.68%)
    特になし87人(6.51%)
    その他48人(3.59%)
  11. 今後、もっと災害ボランティア参加者を増やすには何が必要だと思いますか?※複数回答
    被災地までの交通費の支給236人(12.18%)
    地元住民からの感謝の声57人(2.94%)
    簡単な準備で参加できる仕組み302人(15.59%)
    ボランティア同士の交流145人(7.49%)
    週末のみでも参加できるプログラム295人(15.23%)
    災害ボランティア情報の充実300人(15.49%)
    ボランティア休暇288人(14.87%)
    被災地に行かなくても(オンラインなど)貢献できる作業内容225人(11.62%)
    その他89人(4.59%)
  12. 今後、東日本大震災被災地での災害ボランティアに参加する意志がありますか?
    是非参加したい420人(75.68%)
    時間があれば参加したい124人(22.34%)
    参加しない3人(0.54%)
    その他8人(1.44%)
  13. 今後もし別の災害が起こった際に災害ボランティアに参加する意志がありますか?
    ぜひ参加したい358人(64.04%)
    条件が合えば参加したい197人(35.24%)
    参加しない1人(0.18%)
    その他3人(0.54%)
  14. 災害ボランティア以外で、今後も引き続き被災地を訪れたいと思いますか?(例:観光や仕事としてなど)
    はい549人(98.21%)
    いいえ10人(1.79%)
  15. 災害ボランティア以外で被災地を訪れたくない理由を教えてください。※複数回答
    必要性を感じないから8人(57.14%)
    お金がないから1人(7.14%)
    迷惑をかけると思うから1人(7.14%)
    その他4人(28.57%)
    ※前の質問で「いいえ」と回答された方への質問です。
  16. 災害ボランティアから帰ってきて、活動や被災地の状況を周りの方に伝えました?
    はい555人(98.93%)
    いいえ6人(1.07%)
  17. 災害ボランティアに参加して、自分の活動が役に立ったとおもいますか?
    はい533人(95.01%)
    いいえ28人(4.99%)

被災地(現地)での災害ボランティアへの『参加経験の無い方』への質問と回答を以下にまとめます

  1. どうして参加しませんでしたか?※複数回答
    時間がとれない297人(33.60%)
    お金の問題133人(15.05%)
    情報が少ない66人(7.47%)
    被災地に迷惑をかけると思った80人(9.05%)
    放射能への不安46人(5.20%)
    体力に自信がない102人(11.54%)
    興味がない7人(0.79%)
    自分が役に立つと思えない56人(6.33%)
    年齢制限3人(0.34%)
    その他94人(10.63%)
  2. 被災地での災害ボランティア活動以外に何か支援をしましたか?
    募金をした385人(35.48%)
    募金を集める活動をした76人(7.00%)
    居住地での災害ボランティア30人(2.76%)
    被災地のものを購入した169人(15.58%)
    メッセージを送った78人(7.19%)
    物資を送った126人(11.61%)
    インターネットを使った支援(SNSなどの情報拡散など)159人(14.65%)
    何もしていない23人(2.12%)
    その他39人(3.59%)
  3. 今後、東日本大震災被災地での災害ボランティアに参加する意志がありますか?
    ぜひ参加したい73人(16.08%)
    条件が合えば参加したい311人(68.50%)
    参加しない60人(13.22%)
    その他10人(2.20%)
  4. 今後もし別の災害が起こった際に災害ボランティアに参加する意志がありますか?
    ぜひ参加したい88人(19.38%)
    条件が合えば参加したい333人(73.35%)
    参加しない24人(5.29%)
    その他9人(1.98%)
  5. どのような条件がそろえば災害ボランティアに参加しますか?
    体力がなくてもできるボランティアがあれば129人(14.66%)
    被災地の情報がもっとあれば110人(12.50%)
    最初にどこに連絡すればよいかもっとわかれば156人(17.73%)
    時間があれば280人(31.82%)
    費用負担が少なくてすむなら134人(15.23%)
    参加するつもりなし13人(1.48%)
    その他58人(6.59%)

ピースボート災害ボランティアセンターによる考察

ピースボート災害ボランティアセンター(以下、略PBV)は、今回の震災において5万人(日別のべ活動人数)を越えるボランティアの活動をコーディネートしてきました。この大規模な派遣を継続して行うことができた理由は以下に上げるとおりです。

  1. 被災地では、一般ボランティアを受け入れる態勢ではないと判断し、被災地外の遠隔地でボランティアの募集を行い、被災地入りの前に組織化することを行いました。具体的には、遠隔地の募集地にて、現地状況や作業内容のレクチャー、5から7人のグループ分けまで済ませてしまいます。現地で生活するために必要な装備や食料は綿密なリストアップを行い、すべて持参します。
  2. 移動手段の確保として、東京から石巻までの無料定期バスを実施。

特に今回の震災では、東北に関しては、都心部からの距離が遠いという問題がありました。それは、移動手段、費用の問題を発生させ、ボランティアが参加しづらい環境となります。被災地での災害ボランティアの参加経験のある方への「災害ボランティアに参加するにあたり困ったこと・問題点がありましたか?という質問への回答の上位は、①初めての参加で不安(192人:14.36%)②現地情報、活動情報の不足、混乱(172人:12.86%)③被災地までの交通手段の確保方法(169人:12.64%)となります。また、「今後、もっと災害ボランティア参加者を増やすには何が必要だと思いますか?」※複数回答可 という質問に対しての回答上位は①簡単な準備で参加できる仕組み(302人:15.59%)②災害ボランティア情報の充実(300人:15.49%)③週末のみでも参加できるプログラム(295人:15.23%)となっています。

自然災害は、避けて通ることができないものです。もちろん、事前の予防策、避難訓練などの準備、防災教育によって、災害が発生した際の被害を減らすことは必要です。

今回のアンケートを踏まえ、より多くのボランティアをいち早く効率的に派遣し、現地で大きな力を発揮することができる仕組み作りに生かしたいとおもいます。

今後の活動については、「これからの東北における復興支援やボランティア活動について」をお読みください。