【広島】 活動レポート <住民のニーズ把握:炊き出しカフェ編>

広島土砂災害支援では、災害ボランティアセンターの運営支援の他に「被災した住民のニーズ把握と支援を繋ぐ」活動(炊き出しカフェ)を実施してきました。

 

この “炊き出しカフェ=「だんだんカフェ」と命名)”は土砂災害によって被災した方々から困りごとや要望(以下:ニーズ)を伺い、それに併せた対応を行なう支援活動です。95日〜1029日までに、被災した安佐南区にある避難所や地域のコミュニティスペース11ヶ所にて、562,849食を提供。

 

またカフェの開催をお伝えする為チラシを作成し、地域の延べ6000戸の住宅に対して一軒一軒を訪問・告知を行いました。このカフェには多くの地元の支援者や商店、また県外からの支援者に協力を頂き開催する事が出来ました。

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この活動の目的は住民の“ニーズを把握し解決”することです。しかし、そんなに簡単にニーズが出てくる訳ではありません。被災された方の多くは初めての経験で、「何をどうして良いのか」また「どういった支援を受ける事が出来るかわからない」といった状況です。まして県外からの支援者に対して、いきなり困りごとや自分の気持ちを話す方はほとんどいません。

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PBVでは東日本大震災の経験から、被災された方々が集りやすいよう温かい軽食が食べれ、団欒できるカフェスペースを設けました。

そこに住民と支援者とが気軽に話せる場を作り、継続して実施することで集る人達同士の信頼関係が生まれます。会話の中から出て来たニーズに対して支援を繋ぎ合わせることが出来ます。繋がる事によって外部支援のみならず、地元の住民同士が協力関係を築き、復旧復興へ向けての長期的な地域の取組みが生まれる事もあります。

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●現地の状況

初めてのカフェは避難所で開催しました。土砂崩れが発生したのは8月下旬で気温は高く、冷房のない避難所の生活はとても辛い状況でした。そこで考えたのが“かき氷”です。声を聞くと言うよりも、まずは避難生活をされている方々へ対して涼んでもらう場の提供からでした。

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また広島市内の避難所では、避難生活者に対してお弁当が支給されます。しかし、毎日3食のお弁当生活を長期間続ける事はとても耐えられるものではありません。そういった方々に対して、暖かいお味噌汁や栄養面を考えた野菜の入った食事の提供を続けていきました。

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●様々な支援者との協働

今回は、様々な専門性をもった団体と協力し支援を実施する事が出来ました。PBVとしては住民が集る場所をつくり、住民と支援者とを繋ぐ存在にもなれたかと思います。

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「被災地NGO恊働センター」による足湯にGAKUVOの学生ボランティアが参加し避難者への寄り添い活動を実施。

 

 

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「特定非営利活動法人 難民支援協会」による地域住民へ向けた女性支援キットの配布。

 

 

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地元の支援団体である「広島たすけ隊」、「介護福祉会」、「士業連絡会」や、県外からも「ap bank」、「zono kictin」、「イルギオットーネ」による炊き出しカフェへの協力

 

 

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地元の有志で設立された「広島土砂災害コミュニティサポート」や「広島大学」のボランティアがカフェ実施の協力

 

 

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岩手県釜石市で東日本大震災の支援を継続する「HAPPIECE COFFEE」が広島の支援へ

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東日本大震災で被害をうけた石巻市立大須中学校の生徒達が募金を行い、石巻名産のホタテを購入し送ってくれました。

その他、地元の「洋菓子店バイエルン」からカフェで使用するお菓子の提供を頂いたり、バルーンアーティストで住民を楽しませてくれたボランティアさん、昨年伊豆大島の支援に関わった「東京都災害ボランティアセンター」によるスタッフ派遣等多くのご協力頂きました。

※写真を撮れてなくてすいません。

 

 

●活動内容

住民のニーズは様々です。「家が泥だらけで家族だけでは掃除が大変」といった声は、地域で活動している災害ボランティアセンターを紹介します。しかし、電話番号を伝えるだけではボランティアという耳慣れない存在への抵抗や、家族以外に家の中を掃除してもらう事を想像できずに、依頼するまでに至らないケースもありました。 そういった方へはボランティアが活動した経験のある近所の住民や、災害ボランティアセンターからスタッフに来てもらい活動の説明をしてもらいます。

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また他の支援団体が実施する支援内容やイベント情報、また行政が発表している被災住民向けの情報を併せてお知らせしていきます。

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●地元の声

この活動を始めた頃は、カフェへのお誘いに対しても「俺らが大変な時になんで笑顔なんだ!」と怒られたこともありましたが、継続して活動を続けて行く事で「同じ立場の人達と話をする事で気持ちが落ち着く」という声や「人が集って話せる場所がある事はすばらしい事だね」と言ってくださる様にもなりました。

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●今後に向けて

災害があった地域が復旧・復興へ向かうプロセスのなかでは、人との繋がりと共に協力しあう事がとても大切な事だと思います。沢山の人達が関わる事でお互いの負担が軽減され、そしてより大きなチカラとなると思います。

PBVとしての支援は10月をもって終了となりますが、今後も長期的な支援が必要となります。こういった活動を継続したいと、カフェを手伝ってくれていた地元のボランティア有志が集まり「広島土砂災害コミュニティサポート=通称:コミサポ」という支援団体が立ち上がりました。コミサポさんへも継続した支援をお願いいたします。

 

 

この活動は、個人の皆様や、東京海上日動火災保険株式会社「Shere Happiness倶楽部」のご寄付と共に、「特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム」「公益財団法人 日本財団」からの助成にて実施しました。

 皆さんのご支援とご協力ありがとうございました!!