石巻の語り部 萬代好伸さんより [第四章 その2]

第四章 東日本大震災からの教訓 その2

 

「みんな凄いチームワークだね!」「仕事の仲間かい?」「それとも友達?」

 

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これは、発災から程なくのゴールデンウィークに、はじめて会ったボランティアさんに、自分が聞いたものです。

「いいえ!このチームはみんな、1週間前に会ったばかりです!」「説明会の中で、近くにいた男女3人同士が、即興で6人のチームをつくりました!」

この話しを聞いて、自分は正直驚きました。

はじめて会って、はじめて一緒に活動してるとは、全く思えないチームワークだったのです。

主に首都圏からの参加が多かった、ゴールデンウィークのボランティアの皆さん。

普段なら声を掛けるはずもなく、只すれ違うだけの人かも知れないのに。

そんな人々が、多くのチームをつくり、ボランティアに参加してくれました。

昔と比べ、今は人と人の間が軽蔑になっているこの御時世、あの震災の惨劇に、居ても立ってもいられず、少しでも人の役に立てればと、参加していた人たちでございました。

 

我々被災者は、東日本大震災発災直後から、このような人々の優しさに、触れて来たのでございます。

絶望の淵に立たされ、路頭に迷い、途方に暮れていた我々に、その人たちは温もりの手を、差し伸べてくれました。

それは、ボランティアの皆さん以外にも、大勢の人たちが差し伸べてくれた、手なのでございます。

その大勢の人々とは・・・!

真っ先に被災地へと駆け付けてくれた自衛隊の皆さん!

警察・消防などの、都道府県単位での皆さん!

そして各医療機関、市町村レベルでの行政機関の皆さんたちでございました。

そんな皆さんが、日本全国から駆け付け、温かな支援・救援、捜索活動をしてくれたお陰で、我々被災者は、しっかりと地に足を着け、自分の力で立ち上がる事が出来たのでございます。

その支援・救援活動は、決して容易な事ではなかったと思います。

心に突き刺さるような、辛い現実を皆さんは、痛い程に目の当たりにしたと思います。

中でも自衛隊の皆さんは、発災直後から宮城県知事の要請を受け、救出・救護・救援並びに捜索活動をして下さいました。

瓦礫の山と化した、我々の生活道路を、不眠不休のままに、御遺体の捜索を展開しながら、僅か数日で通してくれました。

更には、各所から搬送される御遺体に、安置する箇所と、火葬場の稼働が追い付かず、やむを得ず、仮の土葬に伏せる任務もして下さいました。

自分も仮土葬の最中を見ていましたが、一体一体に花を添え、丁寧に棺を置く度に隊員一同、涙の敬礼をして下さいました。

その中には、ほんの小さな棺までも、含まれておりました。

その光景は、今でも自分の心に焼き付いており、思い出す度に目頭が、熱くなるのでございます。

このように、各所に甚大な被害をもたらした、東日本大震災の被災地に、日本全国からは、多大なる支援の手が、差し伸べられたのでございます。

我々被災者は、絶望の余り孤独感を味わっていましたが、決して1人ではないよ!と、被災地に優しく寄り添ってくれたのでございます。

これを人の優しさと言わぬなら、何と言うのでしょうか??

これを人の温もりと言わぬなら、何と言うのでしょうか??

我々被災者は、この日の本の国に住む民族の、真の底力をまざまざと、見せ付けられた気が致しました。

この震災を通し、他国の人々には見られない、この国特有の人々の気質、”お互い様” を、垣間見た気が致します。

この、”困った時はお互い様だよ!”と言う、日本人特有の気質を、世界中が絶賛した事は、我々の記憶に、新しいところではないでしょうか??

 

そんな折りに、”ともだち作戦” と称して、それぞれの被災地に支援に入ってくれた、アメリカ軍海兵隊の、1人の兵士さんと、話す機会がありました。

彼は、「こんな大きな災害が、我が国で発生したら、間違いなく暴動になるよ!食べ物1つを巡り、きっと争いになるだろう。我々は、家族を守る為なら、どんな事でもする。例え、食べ物1つでも、家族の命を救えるならば、我々は容赦なく相手にピストルを向け、引き金を引くよ!」と、言いきりました。

すると彼は、眼に一杯の涙を浮かべ、このように付け加えたのです。

「我々は容赦なく相手を殺すけど、あなたたち日本人は、絶対にそんな事はしない。見ず知らずのお年寄りや、子供たちを必死に守っている!我々はそんなあなたたちを見てると、助けたくなるんだ!優しい日本人を見ていると、放っては置けないんだよ!」そう言って、自分に思いっきりハグをして来ました。

後に被災地石巻へは、ピースボートを介し、数多くのインターナショナルボランティアの皆さんが、支援に入ってくれました。

その人たちも、口を揃えて言ってました。

「優しい日本人を見ると、助けたくなるんだよねぇって!」 自分は、そんな日本人に生まれて、誇りに思います。

自分よりも人様と、謙虚な心を持てる日本人に生まれて、誇りに思います。

我々はこの震災で、多くを失ってしまいましたが、何ものにも変え難い人の優しさと、温もりを得る事が出来たのでございます。

こんな、人が人を支える!人々が人々を支える事は、災害王国日本にとって、一刻も早く復興を成し遂げる為には、欠かせぬ事なのだと、思えた次第でございます。

自分はこの “お互い様の精神” を、震災から受けた、第2の教訓として、周囲に伝えて行こうと思います。

 

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第四章 その3 に続く