【活動レポート】 災害に強いアジアに向けて vol.2

レポート前半では、巨大台風被害直後から約2年ぶりの訪問となったフィリピン・セブ島での活動を紹介しました。後半は、クルーズ洋上を中心に実施した日本とアジアの防災・減災教育、人材育成プログラムを紹介します。

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●アジア防災ユーストレーニング

全国各地、また世界各地から延べ1,000人が乗船する「第88回ピースボート 地球一周の船旅」。横浜からシンガポール区間には、UNISDR(国連国際防災戦略事務局)のアジア太平洋地域担当職員とともに、インドネシア、タイ、シンガポールからの青年たちも乗船していました。これは、UNISDRとPBVの共同プロジェクトとして続ける世界各国の人材育成の取り組みで、昨年の中南米、アフリカ地域に引き続き、アジア地域で初めての実施となりました。

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タイからは2名の政府の災害関連職員、インドネシアからは政府の災害関連職員とNGOスタッフ、シンガポールからは日本に留学中の大学院生がメンバーに選ばれました。タイは2011年に死者・行方不明者800人を超す大洪水に見舞われた国、インドネシアは2004年のスマトラ沖地震と津波を経験した国で、自身も被災体験を持つアチェ州出身者もいました。一方のシンガポールは「災害のない国」として知られる一面も。世界でも最も災害が頻発すると言われるアジアでも、国や地域によって様々な違いがあります。

国の防災対策を担う役職のメンバーもいたこともあり、今年3月の「第3回国連防災世界会議」で合意された2030年までの国際的な防災の指針「仙台防災枠組」をどう政策や法律に反映させるかなど、洋上での議論は非常に具体的なものでした。

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別の洋上プログラムでは、先日の地震の被災体験を持つネパール人青年、2010年に30万人以上の死者・行方不明者となったハイチ地震を経験した青年たちも乗船しており、お互いの状況や意見を交換する場もありました。

また、途中で寄港したセブ島では、セブ州の副州知事らを表敬訪問した後、2年前の台風30号(国際名:ハイエン/アジア名:ヨランダ)で被災した北部のボゴ市やダーンバンタヤン市を視察。途中、高校で行なわれていた防災訓練も見学させてもらうこともできました。

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トレーニングは、それぞれに個人そしてネットワークとしてアクションプラン(行動計画)を発表、UNISDRへの提言を作成し無事に終了。これからも、防災に関する国際会議などで出会う可能性の高いパートナーとして、これからも連携していきたいと思います。

 

●講演、災害ボランティア・トレーニング

ピースボートクルーズの乗船者の大多数は、全国各地からの一般参加者。リピーターとして何度もご乗船いただいている方の中には、PBVのサポート会員や過去の災害支援の募金にご協力いただいていることもあります。サポート会員の皆様には定期的にニュースレターをお送りしていますが、できる限り直接お会いして活動をお伝えしたいと思い、今回も洋上企画として2011年の東日本大震災から今年のネパール地震への対応に関する報告を行いました。

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乗船者の中には、各地のピースボートセンターでクルーズ準備を手伝うボランティアスタッフもたくさんいます。その中でPBVの石巻での活動を知り、「イマ、ココ プロジェクト。」に参加してくれていたボランティアからにも牡鹿半島の体験談を話してもらったり、その他「わが家の災害対応ワークショップ」も実施しました。

 

 

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短い期間ではありましたが、洋上での「災害ボランティア・リーダートレーニング」も実施。学生や大学教授、台風の多い沖縄在住者、地元の自主防災組織や福祉避難所のリーダー、退職後にNPO法人を立ち上げた女性、東北でのボランティア経験を持つ人など、バラエティに富んだメンバーでした。

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と、ここまで書いている間に、
フィリピン・セブ島での受け入れパートナーNGO「Options」代表のTessさん、Edさんからちょうどメールが届きました。
せっかくなので、最後にその文章を紹介させてもらいますね。

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Bringing peaceboat to cebu, philippines had been an inspiring and great learning experience for all the staff, volunteers and community people.

We have learned so much its like attending a university or a school for us.
Learning so much from preparations on the logistics, organizing the local people to participate and activities which all parties involved in the event.

We thank you so much for everything for the opportunity to be our best and share what we have to offer both positive and negative: all of them is a learning experience that comes once in a lifetime. Again thank you.

Thank you for your belief in Options, thanks for the patience and of course the friendship and how wonderful to know you as a co worker and a friend.

Ed and i and the rest of the staff wish you the best and please make cebu your regular destination in the years to come. You have a “home” here with us. You have been a part of us and the lessons learned will always be cherished forever.

Sincerely,

Tess vargas
Ed vargas
And the rest of options family

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今回、ピースボートがフィリピン・セブ島に初寄港してくれたことは、私たちスタッフ、ボランティア、地域住民にとって刺激的で学びの多い経験でした。

それは、まるで学校や大学に行ったような機会だったかもしれません。きちんと地元住民が参加する機会や活動を提供し、受け入れのための段取りやツアーの準備を行なう中にもたくさんの学びがありました。

短い滞在の中で、フィリピンのポジティブな面もネガティブな面もどちらとも向き合いたいというピースボートからの依頼は、この一度しかチャレンジできないもので、みんなで力を合わせて準備しなければいけないものでした。だからこそ成し得た貴重な機会でした。重ねて、感謝を伝えたいと思います。

私たちの団体「Options」を信頼し、我慢し、友情を持って協力してくれてありがとう。そして、ピースボートが私たちにとっても素晴らしい協働相手であり、友人であることを知ることができました。

エドと私(テス)、そしてその他のスタッフも、セブ島がこれからピースボートが何度も訪問してくれる寄港先となることを期待しています。セブ島は、もうあなたたちの「家」でもあります。今回学んだことや私たちとの出会いが、お互いの心の一部として、いつもずっと大切なものとして続いていくことを願っています。

敬具

テス・バルガス
エド・バルガス
その他「Options」家族一同

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