「JIM-NET」とイラクの子どもたち

長野県にある諏訪中央病院の名誉院長・鎌田實さん。著書『がんばらない』など作家としてもご活躍、JCF日本チェルノブイリ連帯基金の理事長も兼任されていたりと幅広く活動されている鎌田さんですが、ピースボート「福島子どもプロジェクト」を応援していただいている呼びかけ人にもなってくださっています。

 

その鎌田さんが代表を務める「JIM-NET」は、イラクの白血病や小児がんの子どもたちを救おうと募金を募り、毎年医薬品や医療機器を届けています。鎌田さんも、東日本大震災の発生後は、石巻で「千人風呂プロジェクト」を立ち上げたり、福島での訪問診療に出かけるなど、自らも積極的に東北へ足を運んでいらっしゃいます。

JIM-NETとは、その「千人風呂」のほか、避難所の健康と衛生を目的とした「ダニバスターズ」など、石巻でもピースボート災害ボランティアセンター(PBV)と一緒に活動しています。


石巻市内の避難所で行った「ダニバスターズ」。様々な支援団体が一緒になって活動した。

 

僕がイラクの子どもたちと出会ったのは、JIM-NETにもご協力いただいたピースボートの船旅で訪れた中東ヨルダンで行ったスタディーツアーでのこと。ぺトラ遺跡や死海などの観光資源にも恵まれた国ですが、パレスチナ、イラクと隣り合わせで、戦争・紛争から逃れてきた難民を多く受け入れています。

 

イラクは、1991年の湾岸戦争と国際社会による経済制裁により、病院は老朽化、薬不足も続き、日本では治るはずの病気で多くの子どもたちの命を失うことになりました。2003年のイラク戦争以降は、子どもたちの白血病やがんの発生率が上がっていて、これは残留放射線物質を含む劣化ウラン弾が使用されたことが影響していると言われています。

 

現地で医療支援を続けるJIM-NETの現地スタッフは、支援しているイラクの子どもたちに絵を描いてもらいます。これらの絵が「チョコ募金」のパッケージになったり、チャリティーオークションによって、またその子たちの薬代になるという仕組みです。


2009年のチョコのパッケージ。イラクの子どもたちが描いた。

 

直接子どもたちに会って感じたのは、「この子たちが悪いわけじゃないのに」ということ。確かに放射線物質とがんの発生率の因果関係は、すべてが科学的に証明されているわけではありません。それでも、できる限り予防する、周りはできる限りそのお手伝いをする。そういった努力が子どもたちの命と健康を守ることにつながるし、万が一取り越し苦労だったら、それが一番。JIM-NETのスタッフの皆さんの活動を見ていて、そんな強い志を感じました。

イラクと福島の状況はもちろん違うと思いますが、とにかく子どもたちがこの先も元気で健康に過ごせることを願っています。

 

 

blog written by SHIGE
photo by JIM-NET、Mitsutoshi Nakamura

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