6月20日~22日、ブラジル・リオデジャネイロで国連会議「リオ+20」が開かれ、ピースボートからも東京、アメリカ、コロンビアのスタッフらが参加しました。
「リオ+20」の正式な会議名は「国連持続可能な開発会議」。1992年6月に同じくリオで開催された通称「地球サミット」は、当時172ヶ国の代表や産業団体、NGOが参加し、のべ4万人を越える人々が集う国連史上最大規模の会議でした。
この地球サミットをきっかけに、森林保護や生物多様性、地球温暖化など、地球規模の問題に対して国境や立場を越えた共通の目標設定や取り組みが必要だとして「持続可能な開発」という考え方が広がります。「自国の経済ばかり優先しては、そもそも私たちの生活を支える地球環境自体が耐え切れず、人の生命も守れない。国の利害を越えて手を取り合おう」と。
当たり前に聞こえますが、たくさんの国と立場の人がその課題を共有できたこと、政府や企業だけでなく市民の声を形にするNGOも目標達成に欠かせない存在だと認識されたことは、地球サミットの大きな成果でした。あれから20年を振り返り、これからを話し合おうと、再びリオで開催されたのが今回の会議です。
福島から参加の高村美春さん(左)と、92年の地球サミットで当時12歳で伝説のスピーチをしたセヴァン・スズキさん。母親になったセヴァンは、子連れでリオ+20に参加。同じ母親として、お互いにとって貴重な出会いとなりました。
経済と自然環境と人の生命-。いまの日本にとって、去年の東日本大震災と原発事故は、その象徴とも言える課題です。誰もこの被害を繰り返したいとは思っていません。世界の人だって同じです。まずは福島で何が起こったのか、いまどんな状況が続いているのかを集まった各国の人たちと共有することから始めようと、福島県内からも4名が参加に名乗りを上げてくれました。
佐藤健太さんは、飯舘村出身の30歳。村の若者と年輩者とともに「負げねど飯舘!!」を立ち上げ、昨年11月の「ふくしま会議」の事務局長も務めました。村民の将来の健康や生活を守るため、事故後の行動や健康・生活の記録を残そうと作成した「健康生活手帳」は、いまでは他の自治体でも利用されるようになりました。
以前もご紹介した須藤栄治さんは、南相馬市で活動する「つながろう南相馬」の中心メンバー。震災以降に立ち上がった15の市民団体と共同で「南相馬ダイアログ」を開催したり、子どもたちの遊び場作りに取り組んだりと、積極的に活動しています。
高村美春さんは、南相馬市に暮らす三児の母親。震災直後は子どもたちを埼玉へ避難させ、自身は県内を転々と避難。現在も、5歳の末子のため山形市で借りた住宅と南相馬を往復しながら活動を続けています。福島に暮らす母親としての参加でした。
本間美雪さんは、福島大学の2年生。震災後、福島大学災害ボランティアセンターに登録、「足湯」ボランティアなど避難先で暮らす人々同士の触れあい・交流の場づくりに貢献、現在も仮設住宅などでの支援活動を継続しています。
ピースボートは、国連特別協議資格を持つNGOという立場も活かして国連公式サイドイベントを開催したり、NYのPeace Boat USでも事前から準備に携わったり、同じく参加していた日本のNGO「地球サミット2012JAPAN」「アースデイ東京」「ワールドシフト・ネットワーク・ジャパン」らとも協力したりと、彼ら4名の声を一人でも多くに伝えるためのサポートを行いました。
●現場の詳細レポートは、facebook(日本語・英語)をご覧ください。
http://www.facebook.com/PeaceBoatRio20
ピースボートは92年の地球サミット、10年後に南アフリカで開催されたWSSD(World Summit on Sustainable Development)にも参加していますが、国際会議は本番前にはほとんどの答えが決まっているものだし、ヨーロッパやアメリカの経済不安などもあって、残念ながら今回の会議から20年前のようなエネルギーが生まれるような議論は少なかったという印象です。
それでも、特に市民レベルでは大事な意見交換ができたし、特に集まった各国の若い世代と福島からの参加者とつながれたことは大きな成果でした。
※来週7月8日には、福島からの4名を交えた報告会を行います。
ご関心のある方は、ぜひお越しください。
以下、概要です。
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リオ+20 国連地球サミット
ふくしまからの派遣メンバー 帰国報告会
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先月20日~22日、ブラジル・リオデジャネイロにて世界191ヶ国の首脳や市民が集まり、地球環境や経済、社会について話し合う国連持続可能な開発会議、通称「リオ+20」が開催されました。
ふくしまからも、各分野で活躍するメンバーがこの会議に参加。国連公式サイドイベントや、市民との対話イベントにて、ふくしまの声を世界に届けました。
「リオ+20」に参加した4名のふくしまメンバーと、東京から同行したNGOのメンバー3名による報告を行います。
世界はふくしまをどう見たのか?
そしてリオに集まった世界中の市民からのメッセージは?
採れたての生の報告をみなさんに届けます。
ぜひ、お気軽にお越しください!
【 日 時 】2012年7月8日(日) 18:00~20:30
【 場 所 】ふくしまNGO協働スペース (JR福島駅東口より徒歩3分)
【 参加費 】500円(資料代)
【 主 催 】ピースボート/地球サミット2012Japan/アースデイ東京/ワールドシフトネットワークジャパン
■ 協力
・国際協力NGOセンター(JANIC)
・NPO法人 元気になろう福島
※申し込み不要・直接会場にお越しください。
● 報告者
[ 司会 ]
佐野 淳也(地球サミット2012Japan/元気になろう福島)
[ 福島 ]
佐藤 健太(負けねど飯舘!!/アースデイ福島)
須藤 栄治(つながろう南相馬!)
高村 美春(花と希望を育てる会/つながろう南相馬!)
本間 美雪(福島大学学生/災害ボランティアセンター)
[ 東京 ]
川崎 哲(ピースボート)
大村 祐子(ピースボート)
赤塚 丈彦(地球サミット2012Japan)
※現地活動内容及び各メンバーのプロフィールはコチラ
※「The Future We Want -Japan VOICES-」では、リオ+20に参加したメンバーをはじめ、東日本大震災後の日本に暮らす人々の声から私たちが目指す未来の姿を描き出し、 地球サミットを起点として 世界に発信しています。内容は以下ウェブサイトから視聴することができます。
http://futurewewant.jp/