〜船内最終日 水先案内人マリオさん〜
最後の水先案内人講座をおこなってくださったのはスリランカのマリオゴメスさん。
彼は人権弁護士として活躍するかたわら、コロンボ大学で教鞭をとっています。
コロンボにある紛争研究機関「ベルゴフ財団」に所属し、対話やワークショップを通じた
スリランカ紛争の解決に尽力した経験をお持ちです。
そんな彼が、スリランカの内戦や宗教などについて話してくれました。
子どもたちもこれから訪れる国だけあって興味津々です。
それだけに子どもたちからの質問も飛び交います。
「何才ですか?」「いつからこのような話しを話すようになったのですか?」
「内戦の後はどうなったのですか?」「ゴメスさんは政府にどんなことを言っているのですか?」
「どんな国を目指しているのですか?」と。
そんなに積極的だったっの?と思えるくらい質問を投げかけます。
しかしこれはどう見ても大人の顔色をうかがって質問しているようには思えないくらいの勢い。
言葉を超えて、海外の人にいろいろ聞きたいのでしょう。
本当に興味があるとしか考えられないくらいの質問攻めでした。
ひとしきり質問に応対してくださったマリオさん。
今度はマリオさんの方から子どもたちに質問です。
「震災、津波の後、学校生活はどう変わったのですか?」とマリオさん。
子どもたちは答えます。
「校舎に仮設ができて、思いっきり遊べなくなった」
「放射線が来て、行動が制限されている」
「原発の事故によって小さい弟や友達が避難してしまった」
「体育館が30km圏内に入っちゃって、学校が廃校になっちゃった」
そのあまりにリアルな現状にマリオさんの表情も変わります。
更には「ピースボートで勉強になったことは?」とマリオさん。
同じく子どもたち、積極的に答えます。
「シンガポールで現地のお兄さんお姉さんと英語で喋ったこと」
「色々な仕事をしている人に出会えたこと」「ヒバクシャの方の話しを聞いたこと」
「お昼を一緒食べた人が「私たちに何かできることない?」と気づかってくれたこと」
次々と答えます。
マリオさんも同じく子どもたちに強く興味を持った模様。
「どんな日本を望む?」「震災の後、自分たちは強くなった、と感じた?」
「日本に戻った時、PeaceBoatの経験をどう活かす?」
と、どんどん深くきりこんできます。
それら質問に対し、子どもたちもしっかりとした自分の意見を口にします。
「復興が進んで、世界各国との関係がよい日本」
「復興のためのお金が違うことに使われることがすごい嫌」
「震災当時、メディアが情報を隠していたから、もう少し早く伝えてくれる日本」
「自然災害のときは早めに高台に逃げることを学びました」
「色々文化が違ったり外国人との交流をしたり、一人一人違うということを学んだ。そのことを友達にも伝えたい」「ヒバクシャ・原爆のことを学んだので伝えていきたい」
などなど。
あまりにしっかりとした意見だけに、こちらも相当に驚きます。
子ども子どもと言っていますが、彼ら彼女らは大人以上に感性がするどく
大人以上に多くの物事を感じ取っているのかもしれません。
これにはさすがのゴメスさんも
「パワーを感じた。みんなの望むことは必ず成し遂げられるから、頑張っていきましょう」と
感想と激励のメッセージをくれました。
最後は日本式ですが、一同礼。
今日の深い学びに感謝をしてお礼の気持ちを伝えました。
〜船内最終日 お別れ会〜
船内で本当によく面倒をみてくれたお兄さんお姉さんが最後の最後まで面倒をみてくれます。
そんな彼ら彼女らの最後の企画がこの企画
「お別れ会」です。
まずはじめに南相馬からの引率を代表して内田さんが挨拶をしてくれます。
お兄さんお姉さん。
本当に最後まで子どもたちを楽しませようと
物借り競争ならぬ「人借り競争」たるゲームを実施。
子どもたちは会場を飛び出し、船の中のお客さんに声をかけていきます。
一人でも多くの人と触れあってほしいという気持ちが込められたゲームです。
そんなことは露知らず。子どもたち必死に声をかけます。
勿論会場の外の人は「なんで自分が声をかけられ連れてこられたのか」もよく分かりません。
それでもさすがに子どもの必死さに負けて会場へ。
会場にさえ来てしまえば、ともに笑いが生まれます。
見事歌いきり、この笑顔と涙をこらえる顔。
そして今度はこちらから子どもたちにプレゼント。
引率していた写真家による思い出スライドショー。
これにはさすがの子どもたちも始まる前から
「やばいーー。泣くーーー」とのこと。
ここからは涙腺がこわれちゃいます。
お兄さんお姉さんに向け、一人一人メッセージを伝えるのですが
言葉になりません。
絆なんていう言葉を易く使いたくはありません。
しかし、たった4日間だったにも関わらず
こんなにも深い関係性を気付けたことは事実。
いつまでも、いつまでも、決して忘れることの出来ないかけがえのない想い出になっていくことでしょう。
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