きっかけは少し前のことになりますが、今週末から出発する「福島子どもプロジェクト」の受け入れ先でもあるオーストラリアの方々から、「東日本大震災と原発事故から二周年にあたり、フクシマの現状を話してほしい」というリクエストをいただきました。
時間が経っても、世界はフクシマの現状と教訓に注目しています。その声に応えるべく、3月9~16日、飯舘村の酪農家・長谷川健一さん夫妻にご協力いただき、ピースボートスタッフの川崎哲と、メルボルン在住の松岡智広さん(子どもプロジェクトのパートナーでもある「ジャパニーズ・フォー・ピース」のメンバー)が同行、それぞれの場所で本当に多くの方々・団体にご協力いただき、オーストラリア各地での講演会や交流会を行ってきました。
スピーキングツアーのスケジュールは以下。精力的に各地を巡りました。
3月08日(金) 成田空港出発
3月09日(土) メルボルン:環境公園CERES、医師の会の夕食会
3月10日(日) シドニー:女子高校訪問、震災二周年復興祈年祭
3月11日(月) シドニー:紀伊国屋書店での講演会
3月12日(火) ブリスベン:州議会内での講演
3月13日(水) キャンベラ:国会内で記者会見、国会議員との会合、オーストラリア国立大学での講演会
3月14日(木) ダーウィン:チャールズ・ダーウィン大学での講演会
3月15日(金) ジャビル(カカドゥ):グンジェイクミ先住民族法人訪問、レンジャー鉱山見学
3月16日(土) カカドゥ国立公園見学
3月17日(日) 帰国
※詳細の報告は、facebookでも見ることができます(英語) コチラ
長谷川健一さん(著書に『【証言】奪われた故郷 あの日飯舘村で何が起こったのか』など)は、それぞれの場所で、事故が発生してから避難に至った経緯、牛を手放さなければならなかった酪農家たちの苦しみ、現在の仮設住宅での暮らし等について、スライドを交えて切々と語りました。
そして今日の実態として、除染が効果的に進んでいないこと、子どもたちが安心して遊べるような環境を取り戻すことが必要であると訴えました。
またオーストラリアは、核燃料の原料となるウランを採掘して輸出している世界有数の国の一つです。福島第一原発の原子炉でも、オーストラリアのウランが使われていました。世界がフクシマを注目する理由には、それが大きな事故だったからだけではなく、直接的・間接的に自分たちの生活とつながっているからです。
レンジャーウラン鉱山前で取材を受ける長谷川さん。そのほか、オーストラリアの公共放送ABCラジオやテレビなどからも多数の取材を受けました。
ユネスコの世界遺産にも登録されている北部準州カカドゥ国立公園でも、ウラン採掘が行われています。大自然の恵みとともに生きてきた現地の先住民族たちは、「命のために」とこのウラン採掘に反対していました。
先住民族の長老イボンヌ・マルガルラさんと
クンガラ地区でウラン採掘に反対していたジェフリー・リーさん。この地区が世界遺産地区に編集されることに決まり、採掘計画が止まりました。
長谷川さんが、震災当時そしていまも続く苦しみを各地で語り続けるのは「福島で起きたことを決して風化させてはならない」という想いから。私たちは、その当事者の声にしっかりと耳を傾ける責任があるとともに、その声を世界にも伝えていく責任があるんだと思います。
次のオーストラリアは、「福島子どもプロジェクト」本番。今回、福島の現状にしっかりと耳を傾けてくれた人たちだからこそ、彼らにとっても、未来を生きる福島の子どもたちにとっても、素晴らしい交流になることを願っています。