福島大学ユースプロジェクト 帰国報告

「フクシマと世界をつなぐ」をテーマに、8月から11月にかけての「第77回ピースボート 地球一周の船旅」で実施した「福島大学ユースプロジェクト」。帰国した福島大学の学生2名は、さらに12月1日~9日に日韓共催で行った「PEACE & GREEN BOAT 2012」にも乗船し、無事第1回目のプロジェクトが終了しました。

今回プロジェクトに参加したのは佐藤友里菜さん、石黒美咲さんの二人。ピースボートが行う福島支援のプロジェクトにも様々な場面でご協力いただいている福島大学災害復興研究所の丹波史紀先生からの紹介でした。

地球一周クルーズを通して、彼女たちが行ったのは次の3つ。

①訪れる各国での「3.11」「フクシマ」「原発」についてのアンケート
②乗船された国内外からの洋上講師(水先案内人)へのインタビュー
③船内での勉強会やワークショップ

とはいえ、クルーズ出発直前に決まったこともあり、プロジェクトを進めながら次を計画していく、という手探りの部分もありました。


各国でのアンケートでは、日本語・英語・スペイン語に訳した質問を持って、交流相手や街中の人に声をかけていきます。

ベトナム、イタリア、フランス、スペイン、メキシコでは特別に用意された交流会に参加し、福島での体験を語ったり、また逆に各地での自然エネルギーへの取 り組みについて学んだり。トルコとギリシャでは、「おりづるプロジェクト」の一環として乗船された広島・長崎のヒバクシャの方々と平和について語り、考えるプログラムもありました。

3.11と原発事故を受けた福島からの訪問者とあって、メディアからの取材を受けることも。

 

乗船された洋上講師も様々。社会学者の宮台真司さん、女優の松田美由紀さん、エネルギー問題にも詳しい環境ジャーナリストの枝廣淳子さんなど、日本からも各界で活躍する方々にインタビューしたほか、海外ゲストから学ぶこともたくさんありました。


スマトラ沖の大津波のあと、インド南部の村の女性たちの職業・自立支援、心のケアとして小さなお人形「Tsunamika」の作成を手がけてきたウマ・プラジャパティさんへのインタビューの様子。


「レゲエの神様」ボブ・マーリーの孫で、ジャマイカへの原発輸入への反対運動や自然の大切さを訴え続けているドニーシャ・プレンダーガストさん。

 

船内では、避難したくてもできない複雑な家庭の事情や当たり前のように街中に線量計が設置されている「日常の中の異常」を知ってもらおうと勉強会を行ったり、もっと関心を持ってもらえるようゲームを交えたワークショップも数多く実施しました。


彼女たちをサポートしてくれたのが、一般乗船者から募ったプロジェクト・パートナーの若者たち。毎日の議論や企画の準備など、帰国後もつながる大切な仲間となりました。


時には、深夜まで頑張りすぎて・・・


グアテマラからは協力な助っ人・丹波先生(写真中央)も合流され、最後の寄港地メキシコを目指します。


寄港地でのアンケートもラストスパート。

丹波先生による福島に関する講義とセットで実施したワークショップでは、事故後、多くの福島の家庭が直面した苦悩の記憶を風化させてしまわないよう、参加者の皆さんにも当事者の立場になったシュミレーションを行ってもらいました。

各国で集めたアンケートは報告会とともに、船内で展示を行いました。

 

まだ20歳の学生二人にとっては、自分たちに向けられる世界からの視線はプレッシャーになったこともあったと思います。自分たちが代表して「フクシマ」の体験を語ることに抵抗もあったと思います。それでも、周りにも支えられながらプロジェクトをやり遂げ、世界とつながったことの成果は本当に大きいもので、これからもっと育っていくんだろうと思っています。

次回は、彼女たちが帰国後の報告として発表してくれたスピーチを紹介します。

 

 

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