研修依頼者の声

社会福祉法人北海道社会福祉協議会

地域福祉部 地域福祉課<br />三上 あゆみ様 地域福祉部 地域福祉課
三上 あゆみ様

北海道社会福祉協議会様(以下敬称略、北海道社協)には、毎年度開催される「災害ボランティアコーディネーター養成・資質向上研修会」にて、2018年以来PBVの「災害ボランティアセンター(災害VC)運営訓練」の研修依頼を頂いています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が懸念される中も、オンライン会議ツールでの形式を取り入れ、2021年1月・6月に同研修プログラムを遠隔実施させていただきました。
今回のインタビューでは、平時からの取組みや今抱えている課題、また、コロナ禍で人の移動や対面での活動が限られている中で感じている葛藤や工夫について伺いました。

 

PBVに研修依頼をしたきっかけはなんですか?
北海道社協では、相次ぐ災害への備えとして、2017年度から常設の災害VCを立ち上げました。その一方で、当時の北海道は、災害VCを設置するような大きな災害への対応をした経験者は少なく、災害支援に関する情報収集や支援活動を担う人材の育成に苦慮していました。
そんな折、全国社会福祉協議会が主催する災害VCの運営者研修を通じて、全国的に災害支援活動を展開しており、災害対応に関する知識・経験が豊富なPBVのことを知りました。
研修を開催するにあたり、不安になったことや困ったことはありましたか?
2020年度以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、研修の開催方法をオンライン形式に切り替えました。昨年2020年は、まだオンライン会議ツールを取り入れたばかりであったため、事前の準備や当日の運営への不安は付きものでした。そのため、受講者に対して、オンライン会議ツールの使用マニュアルを作成して受講方法を周知してきましたが、オンライン会議ツールを使うこと自体にハードルを感じていたり、個々の施設によりインターネット環境に違いがあるなど、未だに地域によって差がありますが、北海道は広いので、これまで研修会場に来られず研修に参加できなかった人にも機会が広げられたことは、オンライン形式の画期的な側面であると期待しております。
PBVとも、準備の段階から打合せを何度も入念に行ってもらい、細かい段取り等を相談する中で、オンライン形式による実施の不安や懸念を解消していきました。今日、徐々にオンライン会議ツールの用が浸透してきている印象を持っておりますが、座学中心になりやすいオンライン形式においては、受講者に長時間集中してもらうことが難しいといった悩みにも直面しました。そこで、講義部分を事前に動画配信して、当日は演習を中心に研修を行うなどの工夫を取り入れて実施しました。
こうしたオンライン形式での技術的な面や講座の時間配分についても、講師の垣貫さんに相談しながら当日まで調整していきました。
研修内容は受講者のニーズにあっていましたか?
今回の研修では、社協や行政、NPOの職員、企業の方々など、災害対応にあたる多様な方々を対象に開催しました。2018年9月に発生した胆振東部地震や、大雨災害で、災害対応の経験が増えたスタッフもおります。しかし、人事的な入替わり等もあることからなかなかその知見やノウハウを効果的に蓄積していくことが難しいという課題を常々感じてきました。今回のPBVの研修では、実際に他の都府県で災害支援にあたった時の写真や資料を通して、支援の実態を知ることができ、研修参加者のアンケートからも「大変参考になった」という意見が多くみられました。特に、コロナ禍の災害という複合災害での事例や工夫に関するPBVのこれまでの経験に対し、関心の高い受講者が多かったという印象があります。
PBVに研修を依頼して良かった点はなんですか?
災害VCの設置・運営についてのみならず、被災者の心情や困りごとの変化や、他団体の災害支援の取組み、災害後の復興期の支援活動の考え方など、広い視野を持って学ぶことができました。さらに、近隣だけでなく、全国に広がる災害支援団体の情報や繋がりも紹介していただきましたので、今後の課題である情報収集や災害時における多様な関係者との連携に活かしていきたいと考えております。
今後取り組みたいと思っていることなどはありますか?
今般のコロナ禍において、災害VCに関する普及活動を行う機会が減少したことを受けて、今年度から、道内の社協や行政、NPOなど関係機関を対象に、WEB講座やオンラインによる意見交流会を開催しようと、今、準備を進めています。コロナ禍であっても、災害VCに関する知識・ノウハウをはじめ、災害に対する認識を絶えず高めるとともに、担当者間の横の繋がりを強化していくことが狙いです。
また、コロナ禍で、より一層地域の力を高めていくことが求められており、各地域における災害支援や災害VC運営の担い手の育成をさらに強化していきたいと考えています。
(インタビュー:2021年7月28日)

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