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雄勝石でアクセサリー製作「今や生きがい」~雄勝・船越レディース~

あき
2012/04/16・あき

石巻市中心地から車で約1時間、雄勝半島の北側に位置する漁師町、船越。
17mの津波に襲われ3階まで水に浸かったという船越小学校に、今子ども達の姿はありません。
津波の爪痕が残る校舎の片隅から聞こえてくるのは、3階の廊下に畳を敷いた「工房」で作業する「船越レディース」の笑い声。
今や船越の代名詞となった「雄勝石ネックレス&ストラップ」や、縁結びのお守りとして人気の「貝の根付け」を製作・販売する彼女たちを取材しました。

船越レディースの活動は、支援に来たボランティア達に貝の根付をプレゼントしたことから始まりました。
外国人のボランティア達は珍しがって喜んでくれるのではと思い、来てくれたせめてものお礼にと根付を作ってプレゼントしたところ、「販売は引き受けるから、もっと沢山作って」と言われたそうです。

船越には住める家は1軒しかなく、仮設住宅を建てる場所もありません。ほとんどの方は船越から車で1時間離れた市内の仮設住宅などに暮らしています。「誰も住んでいない場所に支援の手は来ない。このままでは廃村の可能性もある。何とかしなくては」と考えた漁師のリーダー中里孝一さん。
住民の皆さんと力を合わせて船越小をキレイにし、船越の住民さんがそこで何らかの作業ができるように、教育委員会に掛け合いました。
ここで漁師さん達は漁の準備を、そしてその奥さんたちは貝の根付を作ることになったのです。

津波の資料として残してある船越小2階の視聴覚室

ところで、今や「全国、どころか海外からも発注が来る」という雄勝石アクセサリーを作るようになったきっかけは、実はピースボートでした。

雄勝石は雄勝町で産出される2億5千万年前にできた黒色硬質粘板岩で、硯にも使われる美しい石です。東京駅の屋根にも採用されています。
船越地区ではこの雄勝石を屋根瓦に使った家が多くありましたが、津波に襲われ、瓦礫やヘドロの中に雄勝瓦が散乱してしまっている状態でした。


この瓦をピースボートのボランティア達で拾い集め、ネックレスやキーホルダーに加工して川開き祭りで販売したところ、大盛況。
「そんなに売れるのなら」と、まだ暑さの残る9月、ネックレス作りを伝授しに伺いました。

まずは雄勝石をヤスリで削って角を取り、砥石で磨き、

電気ドリルを使って穴を開け

紐を編んだら

完成!!

慣れないドリルを使う作業や、根気と集中力のいる紐編みの作業に、レディースの皆さん「肩が痛い。目が疲れる」。
正直「このまま作らなくなってしまうかな」と思いましたが…

1ヶ月後に訪れてみると、レディースの皆さん、学校の図書室にある図鑑や絵本を参考に絵付けした味のある独自のネックレスを製作していました。紐編みも自分たちで独自の編み方を考案し、私たちピースボートが作っていたネックレスよりも何倍も素敵なものになっていました!


船越小には、噂を聞きつけ毎日のように「雄勝石アクセサリーを買いたい」という方が訪れます。
また新聞やテレビ、ラジオなどでも紹介され、今では結婚式の引き出物や卒業記念品用など全国からも発注が来るようになりました。
レディースの中心的存在である中里良子さんは仰います。「今ではこの雄勝石アクセサリー作りが生きがいよ。欲しいと言ってくれる方がいる限り、作り続けます」


東京のデザイナーさんと一緒に商品開発した「こより」のついたオーナメント「WA×merci」はフランスやオランダ、スウェーデンなどでも販売されています。

レディースだけでは生産が追い付かないため、石削りは漁師さん達の仕事です。
その名も「船越おどご☆スターズ」!


孝一さんは仰います。
「船越は住める家はないし、仮設もないから、みんな車で通わなきゃなんね。正直不利だっちゃ。でも人にいないとこに支援の手は来ねがら、毎日何か作業するために集まろうって。アンダ達が教えてくれた雄勝石ネックレスのおかげでお母さん達も作業ができるし、漁ができない時期には浜の唯一の収入源だべ。ほんっど助かってるっちゃ」

船越にはもともと約125世帯、約340人の方が住んでいましたが、夏頃に行ったアンケートでは「絶対に船越に戻って来たい」と答えたのは13世帯しかなかったそうです。
しかし、毎日船越に集まって作業したり、毎週復興勉強会を続けてきたりしたことが実を結び、今では54世帯が「戻って来たい」と答えているといいます。1月末の総会でも高台移転が合意に至り、船越は復興に向けて大きな一歩を進み出しました。

「船越で生きていきたい」
訪れる度、孝一さんや船越レディースの方々の強い想いが伝わってきます。
一日も早く、また船越に住むことのできる日が来ますように。


◆船越レディースの商品は、アイトピア通りの「かめ七呉服店」さん、おがつ店こ屋街での毎月の復興市、こちらのショップにて販売されています。(2012年4月現在)

◆船越のリーダー中里孝一さんのブログはこちら

◆2012年4月17日(火)18時~京都にて、NGO団体「TEAM SAKE」様主催による「船越レディーストークショー」が開催されるそうです。詳細はこちら

blog written by aki
photos taken by Shoichi Suzuki, aki

あき 岩元暁子(あき)
1983年、横浜生まれ。数年勤めた米系IT企業を退職後、フラフラしていたら震災発生。2011年4月、PBVのボランティアに参加。その後長期に渡り石巻に滞在し、マッドバスターズ(泥かき)、側溝清掃、漁業支援、避難所支援、工場支援、仮設支援に携わったのち、2012年4月より専従スタッフになる。現在は「仮設きずな新聞」編集長。趣味は洋裁、着物、フルート。2013年1月、ミュージカル「A COMMON BEAT」東北第一期に出演。