石巻からのお手紙 - 阿部紀代子さんより -

石巻市中央町にある割烹・八幡屋の女将・阿部紀代子さんから「3・9レター」(※)が届きました。震災後、ご自身もお店も被災されていた中、「よそ者」だった私たちボランティアを温かく受け入れてくださり、商店街の泥かきや現在も続く街づくりの活動のきっかけとなった方です。八幡家は、昨年、営業を再開(※)しました。

震災から2年を迎える今だからこそ、石巻市で泥かきを手伝ってくださったボランティアの皆さんに、ぜひ読んでほしいと思っています。

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※「3・9レターキャンペーン」に届いたその他のお手紙は コチラ

※八幡家再開物語は コチラ

 

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限りない感謝を込めて

 

早いもので、あれから2年が経とうとしています。日常が続いていくことに何の疑問も持たず、また今日と同じ明日が来ることを疑った事もありませんでした。そんな平凡な日々が突然むしり取られでもするかのように奪われてしまったあの日。絶望すら感じられないほどの大きな衝撃でした。心の中にある「感情」、特に「悲しい」とか「苦しい」といったものが、すべて心の奥底にあるシャッターの向こうに閉じ込められてでもいるようでした。

手のつけようもないほどにドロドロになった建物・・・

そんなことより、まず明日食べるもの、飲む水。生きることが第一でした。

 

食べ物や飲み物が少し安定してきた頃、先の見通しを思う気持ちが芽生えてきたものの「さて、どこから手をつけたらいいのやら」と途方に暮れる思いでした。

ボランティアの人は必ず来ると思ってはいましたが、あまりにも広範囲でとてつもなく大きな被害に「その日」が来るのは、遥か先のことと覚悟をしていました。

4月に入り、 街にボランティアの皆さんが入るようなった時は本当に「ホッ」としました。我が家だけでなく、どの家も人出がなくて困り果てていましたから。

そして、もうひとつ。

皆さんが元気な声で挨拶をしてくれること。これが大きな励みになりました。

泥まみれになって寒い中、見ず知らずの私たちのため一生懸命作業をしてくれる。帰り道、どんなにか疲れているでしょうに、大きな声で挨拶していって下さる皆さんに、私達もこのままではいられないと思うことが出来ました。

「前に進む気持ち」に心を向けられるようなりました。

 

名前も知らない、どこに住んでいるのかもわからない、ひたすら泥にまみれて作業をして下さる皆さん。寒い中のテント生活。座る場所もない街の中で、寒い屋外で休んでいる姿。

それでも一言の愚痴もなく、コツコツと働いて下さる。そんな力があったから、こんなにまで復旧することができたのです。

 

「ありがとうございます。」

何回繰り返しても足りません。貴方たちの力があったから、今があります。

連絡先を聞くこともままならず、怒涛のように流れる時の中で気が付けば2年。改めて、今ある自分にとって皆さんのくれた力がどんなにか大きかったか・・・。

昨年、やっと店を再開することができました。

これも何かをしようということではなく、目の前の扉を一つずつ開けていった結果です。それでも、多くの方に店の再開を知って欲しいと思います。あの時、この街にいた皆さんのところに「お店が再開した」と伝わって、いつか「あの時の私です」って、訪ねて頂ければ嬉しいなって思います。

何年先でもいいのです。ここに、この街でもう一度頑張っていますから・・・。

見に来て下さい。貴方が泥かきや片づけを手伝ったお店がいまどんなふうになっているのかを・・・。

みんなの手を借りてこの街がどんなふうに蘇っていくのかを・・・。

 

ずっとずっと「ありがとう」って思っています。また、会える日を楽しみにしています。

ありがとうございました。

 

石巻市中央  八幡家 阿部紀代子

 

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