JCC2015-国連防災世界会議に向けて

明日1月17日、阪神・淡路大震災の発生から19年を迎えます。それから10年が経った2005年、神戸で「第2回国連防災世界会議」が開かれ、その後各国が10年の間に達成すべき指針としての「兵庫行動枠組(HFA)」が採択されました。2015年はその期限となる年で、3月には仙台市で「第3回国連防災世界会議」(以下、仙台会議)が開催されることが決まりました。仙台、そして東北が開催地に選ばれたということは、東日本大震災での日本の経験が、それだけ世界的にも注目されていることの表れでもあるでしょう。

先週1月10日、この仙台会議を通じて、東北の現場で活動したNGO/NPO、ボランティア団体、そして被災を経験した当事者である住民の声をしっかり共有し、世界各国での防災・減災に活かしてもらおうと、国内のNGO/NPOら64団体が集まるネットワーク「2015防災世界会議日本CSOネットワーク(通称:JCC2015)」が立ち上がりました。

● JCC2015のホームページは コチラ

 

阪神・淡路大震災は、国内的には「ボランティア元年」とも呼ばれ、その後も数々の災害を経験する中で、被災地域の社会福祉協議会らが中心となり「災害ボランティアセンター」を立ち上げ、ボランティアと被災者からのニーズをマッチングする仕組みができていく原点でもあります。また、災害に限らず、そういったボランティアをコーディネートする団体が活動しやすくなるよう、「特定非営利活動促進法(通称:NPO法)」を作る礎にもなりました。


1995年、神戸市長田区でのボランティアの様子。


災害ボランティアセンターに集まるボランティア(2013年11月、伊豆大島水害)

 

こういったボランティアに関する分野だけでなく、さらに以前から取り組まれてきた町会や消防団による地域住民の防災活動、そして技術面・インフラの整備状況においても、世界的には日本は「防災大国」と思われています。それは一方で、数々の災害に対応してきた「災害大国」であることの裏づけでもあるでしょう。だからこそ、仙台会議を含め、過去の国連防災世界会議はすべて日本が開催地になってきました。

ただ、国内での優れた取り組みは、国際的にはほとんど知られていません。フィリピンの台風被災地に足を運んだ際、高潮によって東北の津波被害のような景色を目にしました。犠牲者は6,000人を越え、いまだに1,700人以上が行方不明です。「日本のような防災体制があれば、ここまで犠牲が増えることはなかったのに・・・」と思ったのも正直な感想です。仙台会議では、「国が違う、経済状況が違う」と「違う」ことを探すのではなく、世界的にも「共通する」事例や仕組みを見つけ出し、提案したいと思っています。


東日本大震災の石巻市では、公助がカバーできない約1万食の炊き出しをボランティアが担う仕組みを作った。


東日本大震災で活動したNGO/NPOの経験と教訓をまとめるワークショップ(2013年5月)

 

また、東日本大震災では、地震と津波という天災により、原発事故という人災も重なりました。3年近くが経った今も問題は複雑かつ広範囲で、健康被害が報告されたりといった新しい被害も出続けていて、まだ復興の形そのものが決められずにいます。「防災大国」である日本でも、対応が十分にできない課題です。少なくとも原発を持つ国、これから検討しようとする国にとっては、これも「共通する」議題でしょう。

昨年5月、PBVスタッフも参加した、仙台会議の準備会にもあたるGPDRR(防災グローバル・プラットフォーム会合)には、福島・二本松市在住の農家・武藤一夫さんにも同行していただきました。全体会やいくつかのサブイベントに参加しましたが、福島の原発事故については多くが課題と思っているにも関わらず、武藤さんご自身や日本からのNGO/NPOが参加していなければ、その実態を誰も議題に上げようとしていなかったことは驚きでした。


ジュネーブで行われたGPDRR(防災グローバル・プラットフォーム会合)でスピーチを行った福島の農家・武藤さん。

 

先週立ち上がった「2015防災世界会議日本CSOネットワーク(JCC2015)」では、PBVも事務局団体のひとつとして積極的に関わっていきますが、その前提にはこういった日本の経験を、世界中で一人でも多くの人が災害で犠牲にならず苦しまなくてすむ社会につなげたいという想いがあります。もちろん災害の発生を止める術までは持ちません。であるならば、被害を受けても助け合って、力強く乗り越えていける社会を作りたいと思っています。


先週行われた「JCC2015」設立総会の様子(2014年1月10日、東京都新宿区)

 

足元での被災地支援の活動、その経験を世界の人々と共有する活動。どちらも大事です。だから、両方頑張る、という決断です。PBVと合わせて、「JCC2015」もよろしくお願いします!

 

 

※JCC2015による国連への提言などは、日本語・英語の翻訳なども大きな作業のひとつです。バイリンガルでお手伝いいただけるインターンも募集しています。ぜひ、ご協力ください。

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