『ばんちゃんナイト in Tokyo for Students』 の報告

遅くなりましたが、7月20日に行われた『ばんちゃんナイトin TOKYO for Students~被災者から見た石巻、大学生から見た石巻~』の報告です。
この夏休み中にボランティアに行こうと思っている学生など、約40人が参加。石巻から萬代さんも駆けつけ学生に向け、自身の被災体験とメッセージを、後半は自身のボランティア体験や震災以降の心境を語るグループでのワークショップとなりました。

ここからは、今回の主催団体のひとつ「被災地×学生つなぎ隊」のメンバー増田萌那さん(早稲田大学4年生)が書いてくれた当日の報告です。
(増田さんは、震災の影響で授業が始まらなかった4月を中心に、3回に渡って石巻のボランティアに参加しました。)

【 第一部 】 『ばんちゃん』の話

ゲスト : 萬代好伸さん
聞き役 : アーデル・スレイマン(慶應義塾大学1年、リビア出身)

一時間という限られた時間ではありましたが、石巻からのゲストばんちゃんのお話をインタビュー形式でお伺いしました。

まず、11日のこと。

ご本人の口から聞く11日の出来事は、とてもリアルな情景として私の頭に浮かび、忘れかけていた当日のすさまじい津波の映像の報道を思い出させました。それと同時に、こんなに怖い体験をしてもこうやって東京で、若者の前で話をしてくれるばんちゃんの強さと優しさを感じました。

また、恐ろしい津波の話だけではなく、ばんちゃんは大切な「災害から学ぶ姿勢」について、私たちに教えてくれました。

もう起きてしまった震災。この被害 から学び、立ち上がることが肝心です。今後もどこかで起こりうる震災。その時のために備えられる十分な対策を、いまみんながいかに真面目に向き合うことができるか、その大切さを気付かせてくれました。

そして、遠くからボランティアへ来てくれる若者たちへの感謝の言葉をくれました。

「ボランティアは神様」。そんな風に言われて、神様でも何でもないただのいちボランティアだった私は、逆にくすぐったく感じました。でも、こんな風に、ボランティアに感謝してくださっているんだと知り、自分たちが行っている復興支援が地元の方々にとっても意味のあるものだと実感でき、とても嬉しかったです。

ボランティアの原点は「困ったときはお互いさま!」まっすぐに行動に移して、知る、考える、そしてまた行動することの大切さも強調していました。「いま行動して自分の目で見て考えてほしい」 ばんちゃんからの私たち若者へのメッ セージでした。

このばんちゃんの話しを直接お伺いしたことで、私たちは本当にたくさんの考えるきっかけをもらいました。ばんちゃんのお話を直接聞くことができた私がやるべきことは、この話をこの場に来れなかった多くの人に伝えていくことでもあると思いました。

【 第二部 】 ワークショップ  (ばんちゃんを囲んで)

このワークショップでは、「ばんちゃんの話を聞いて、感じたことを話し合ってみよう」というテーマでグループディスカッションを行いました。

被災地に行ったことがある人もそうでない人も一緒にグループを作り、全4グループが、30分もの時間を使って話をしました。

自身の体験とばんちゃんの話とを照らし合わせて語る人、
この夏に初めてボランティアをしに行く前に、不安なことを聞く人、
ばんちゃんに直接質問をしてみる人、

たくさんの意見や質問が飛び交いました。

最後の各グループの発表では、それぞれの意見が出ました。そんな中で、どのグループも共通して出た意見があります。

「実際に自分が行って、自分の経験で被災地と関わる ことが大事」

まずは、直接行ってみること。
これがとても大事だということを、発表を通して再認識しました。

被災地へ行く災害ボランティアに、こうすれば正解、なんてマニュアルはありません。特に初めて経験する大震災、すでにボランティアに行った人を含め、ほとんどの学生が自分が何をすべきか分からなかったとしても不思議ではありません。それでも、人と人がつながることは、大きな力になります。仲間がいることで、できることが増えます。

避難生活や仮住居での生活が終わり、仕事や産業が復活し、街が立ち直り、気持ちの面でも震災を乗り越える – 被災地の方々にとっての復興は、NGOが緊急・復興支援を考えているよりも、はるかに長く、10年も20年もかかるのかもしれません。その時に、現役で社会を動かす主役は、いまの学生の世代。これからも、それぞれの活躍が楽しみです。

 

<< 主催団体紹介 >>

◎ 被災地×学生つなぎ隊

「被災地×学生つなぎ隊」は、今回の大震災の後、ボランティアを経験した学生によって設立された、被災地と学生を支援という形で繋ぐための団体です。「被災地の現状を知ってもらいたい」、「風化させず、被災地との温度差をなくしたい」そして、「より多くの学生に実際に復興支援に携わってもらいたい」。このような思いから集結した有志によって運営されています。
http://tsunagitai.jimdo.com/

◎ Next Generation Ability (NGA)

Next Generation Ability (NGA)は、宮城県石巻市にボランティアとして参加した学生が、「ボランティアに来ている学生が少ない。このままでは、この震災の問題は学生の間で風化してしまう」と危機感を感じ、設立した学生団体です。設立理念は「復興と復幸」です。ボランティアにしかできない作業を通じて、建物を復興させるだけではなく、被災者の方々の「幸」を取り戻すお手伝いがしていきたいと考えています。
現在は週3回学生向けにボランティア説明会を実施し、より多くの学生がボランティアに行きやすいような環境づくりに努めています。
http://next-generation-ability.org/

◎ コットエンド漁業支援プロジェクト

ピースボート災害ボランティアの第一次隊として、石巻で活動した左座進介さんを中心に、海洋学を学ぶ学生らによる石巻の漁業支援プロジェクト。津波で打ち上げられた魚を回収するプロジェクトに始まり、漁具の回収や漁港の清掃牡蠣の養殖のお手伝いなど、ボランティアで地元の漁協のお手伝いをしながら地元漁業再開を目指している。