震災から1年、代表・山本隆インタビュー (前半)

間もなく東日本大震災から1年を迎えます。
阪神淡路大震災以降、国内外問わずピースボートの災害支援のプロジェクトリーダーを務めてきた山本隆(41)へのインタビューとともに、この1年間を振り返りたいと思います。

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震災後、救援物資を載せたトラックで石巻市へ入った山本隆。

 

Q:
これまで各地の現場を回ってきたと思いますが、約1年が経った東北の現状を見てどう思いますか?

A:
3月17日に石巻に入った時に見た景色は忘れることができません。確かに世界各地で地震や津波、ハリケーンに襲われた現場を見てきましたが、あの状況は「最悪」でした。石巻の中心部では、各所との連携を進め、ボランティア一人ひとりの頑張りが復旧を進めてきたと感じています。また、「よそ者」である外部団体やボランティアを受け止めてくれた石巻の方々の協力が本当に大きかったと思っています。

それでも、津波ですべてを流されてしまった全壊地区をどう立て直していくのかのビジョンは見えないし、また人口流出の問題や地場産業の再生に向けて、具体的に解決すべき大きな課題が山積みです。まだまだ長くかかるのに、関心が薄れていくことを懸念しています。

 

Q:
神戸で復興まで15年、と言われていますよね?

A:
何を持って「復興」と呼ぶのか、と思います。まだ神戸でも二重ローンに苦しむ人もいれば、大切な人を失ってしまった方々にとっては単に時間が経ったから解決した、ということではないでしょう。

また、仕方がないのかもしれませんが、神戸との比較はあまり好きではない、というかあまり意味がないと思っています。震災の内容も、規模も、土地も、人も違います。神戸と同じようなプロセスを辿れば15年で解決できるはず、という思い込みは危険だと思っています。少なくとも東北の沿岸部には、西と東をつなぐ神戸のような人の流れは期待できません。もっと地元の魅力を発信したり、スタディーツアーを行ったり、どう人が集まる仕組みを作っていけるのか。残念ながら、「これ」という正解はありません。地元の方々とも意見を出し合いながら、一緒に考えていきたいと思っています。

 

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阪神淡路大震災、神戸市長田区で活動。山本は当時24歳。

 

Q:
今回の支援活動について、これまでとの違った点はありますか?

A:
同じスタンスで行ったことも、新しい取り組みもあります。同じ想いで行ったのは、「人」による支援、つまりボランティアですね。一口に被災地の支援といっても、お金や物資の提供、情報を整理・発信していく後方支援、支援団体の連携やコーディネートを行う中間支援など、様々な関わりがあります。自衛隊や医師などの専門家でないとできないこともたくさんあります。それでも「ボランティアも、具体的に物事を解決できる」と信じてやってきました。

炊き出しで主に行ってきたのは、在宅避難者へのデリバリー。提供する食数が足りない、ということを避けるので、避難所のように対象となる人数が分かるところでないと行政の支援は入れません。在宅避難の地区では、何度か訪れるうちに「ある程度」の人数やニーズを予想できるだけ。現場の裁量が問われます。泥かきもそうです。本来、公の施設ではない個人商店や民家、工場などの清掃は、個人で業者に頼むか、自分で片付けるしかありません。そこに「手伝いますよ」と入っていけるのは、ボランティアだからこそなんです。

役割分担を明確にし、きちっと情報を共有することで、ボランティアだって責任を持って災害支援の重要な担い手になれる。自主的・自発的が大前提なので、集まる人数などが不安定というボランティアならではの悩みもありますが、僕自身はもっと可能性を追求できると思っています。

 

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Q:
違った点は、どういったところでしょう?

A:
実は、これほど長く地域に密着しての活動は初めてです。外から入る団体なので「よそ者」が地元の文化やペースを乱さないように、と気を遣いながら緊急支援を行ってきたのがこれまでです。いつかは、抜けていく存在なんだから、と。国際交流の船旅という大きな事業を抱えながら、ずっとは続けていくことが難しいという内部事情もありました。

ただ、今回の被害を目の前に、規模も期間もこれまでの支援とは違うものになるだろうし、同じではダメだと直感しました。4月に一般社団法人としてPBV(ピースボート災害ボランティアセンター)を立ち上げたことで、まずは東北の支援に専念できるような体制づくりも並行して行いました。これからは、過疎や高齢化などの根っこの深い問題にも目を向け、もっと住民の皆さんと一緒に考え、活動していきたいと思っています。

PBVは、今は緊急支援ということでご協力いただいた寄付や助成金で活動できていますが、長く継続する上ではもっと広く運営をサポートしてもらったり、どこかで事業化していくことも考える必要があるのかもしれません。ただ、とにかく具体的な活動が何より大事。組織運営が優先で身動きできなくならないよう、これまでと変わらず何でも積極的に取り組んで行きたいですね。

(後半につづく)

 

Photo:Yoshinori Ueno